神様の行方を知りませんか




あなたの世界への宣告はとても悪意に満ちたものらしいですしかしあたしはそうは思いませんあたしは味方なのですあなたを愛しあなたの考えに賛同しそうしてあなたにとってあたしは一番正しい存在なのです、ああ、微睡みの中であなたが呼んだ

「ヒカリ」
「ヒカリ、」

二回も呼ばなくても聞こえてます、聞こえてますって。

「アカギさんアカギさん」

だから真似して2回あなたの名前を呼ぶの。これでおあいこ。おんなじ。

「寝るな帰れ」
「それは酷い。アカギさんの側に居たいだけなのにあたし」
「…っ」

正直に言ったのにあなたはすごく困っている。それがすごく満足。
「ね、あたしは子どもですか」
「当たり前だろう」
「そっか」
アカギさんあたしね。
「大きくなったらお嫁さんになってあげるからね」
「なんだそれは」
「まずはギンガ団に入れてね」
最初に制服のデザインを可愛く変えちゃうわ。
「でもあたしがおっきくなる頃にはアカギさんが世界を変えてしまっているかな」「そしたらあたしはいなくなっちゃいますか」「あなたの世界にあたしは生きていますか」
ねえ黙らないでよアカギさん、ギンガ団に入れてあげるって一緒に生きようってできれば好きだと言って

「お前は正義の味方じゃないのか」
「うふ、正義の味方って…」
「我々をことごとく邪魔しておいて」
「あたし犠牲者だもん」
「…は」
「みんなしてあたしをけしかけて。ねえ信じて本当だから」
あたしはあなたにとって一番正しい存在の筈なのよ

「アカギさんは27歳」
「どこで聞いた」
「あたしはまだ16歳」
「……ヒカリ」
「なぁに?」
こうやって名前を呼んでくれるようになるまで、大変だったなあ。
「もしも本当にお前が最後まで世界の終わりを見届けたなら」
「ええ、最後まで」
「新世界、行くか、一緒に」
「…っ!もちろんです」
あなたがこんな風に言ってくれるなんて。プロポーズ級の破壊力。
「約束ですよ、あたし楽しみ。きれいなお嫁さんになれるかなあ」
「そこまでは言っていないだろう」
「そんな落ち着き払わないでよ、照れてくださいよ」


それからあたしが一番大事にしてきたものはあなたとの素敵な未来図でした静かで完全で明瞭な世界であなたとあたしは幸せになるのふたりぼっち
でもあたしの宝物はきれいに砕け散ってしまった無残にもあたしの幼なじみと博士の助手によってきっとあたしがやらなかったからその代わりに彼らが選ばれたんだほらねやっぱり世界は不完全あたしの夢は世界が正しくないと判断したために消去されてしまったささやかな幸せを願っていただけだというのに あたしは2人の少年を責めた世間でヒーローと呼ばれ救世主として喝采を浴びる彼らにあたしの未来幸せ夢一番大切な人みんなみんなあたしの手の中から零れ落ちて消えてしまったじゃないのどうしてくれるの幸せだったのに幸せだったのに幸せになる筈だったのにアカギさんはどこ


そしてあなたがいなくなった世界であたしは今日も呼吸しています。平穏を望んだその他大勢の人々にあたしの悲しみは分からないでしょう。

あなたが一番正しかったのに。
そしてあたしはあなたにとって一番正しい存在だったのに。