ひみつの光り




 最初は友達の友達だった。いろいろあって大好きになって、今、彼女はわたしとキスをする。二人で過ごす日々、重ねて半年にも満たないね。それでもわたしたちは、互いの色んなことをもう知っている。こんなに好きな人ができるなんて、何もかもを好きになる人に出会えるなんて、とても幸せなことだと思う。冬花ちゃんの唇から香る、リップクリームのストロベリーに酔いどれる。

*

 彼女の名前を呼ぶ寒い季節の素敵な一日。秋ちゃんのおうちで、わたしや冬花ちゃんも含めたみんなでクリスマスパーティをした。ケーキやお菓子を持ち寄ったり作ったり、プレゼント交換をしたり、夜になるとわたしたちは駅前のライトアップを見に出掛けた。


「…はぐれちゃった、ね」
 装飾はきれいなものから変わりものまで様々で、不規則に明滅を繰り返す色とりどりを次々追いかけるわたしと冬花ちゃんは、どうやらみんなを置いていってしまったみたいだ。
 困ったように視線をさ迷わせる冬花ちゃんはなんだかとても可愛い。彼女を、ふわふわのベレー帽越しに撫でてみる。それに気付くと冬花ちゃんは、ふふ、とはにかんだ。

「冬花ちゃん、二人だけで少しだけデートしない?」
「うん…わたしも、今そう言おうと思ったところなの」

 目を合わせて同時に噴き出す。みんなに見つけられるまでの、ほんの少しの二人きりのクリスマス。見つかりたいような見つかりたくないような、どきどきする愉快な気分で踏み出した。


「…あ、これ」
「ん?」
 冬花ちゃんが立ち止まる。指した先を見るとピンクのハートの電飾があった。

「音無さんが言ってたの。ここでキスするとカップルはずっと幸せでいられるんだって」
「わ、それすごいね」

 なる程、それは少し中心のツリーから離れた陰にある。丁度良いベンチなんかもあるからきっと広まっている噂なんだろうね、と思う。

「しよっか、キス」
「えっ」

 肩を掴んで言うと、驚いたように震える。髪の色に似たマフラーがちょこんと跳ねる。わたしは返事も聞かずに冬花ちゃんにキスをした。苺の香りがふわり、冬花ちゃん愛用のリップ。
 離れると真っ赤な顔の彼女がぱちりとした目でわたしを見つめる。

「つくしさん」
「なあに、冬花ちゃん」

 俯いたり首を傾げたりする冬花ちゃん、やがて口を開いて、

「好きだよ」

 知ってるよ、今更じゃない。…素直な言葉が上手く浮かばない。驚いて、嬉しくて。ようやくこれだけ振り絞る。

「わたしも、冬花ちゃんが好きだよ」


 しばらく見つめ合っていると、冬花ちゃんの向こうでこちらを指差す秋ちゃんの姿が見えた。それを教えると冬花ちゃんはわたしの手を取って走り出す。

「とっても、とっても好きです、つくしさん」
「わたしだってすっごくすっごく冬花ちゃんが好き!」

 叫び出すのを堪えて笑う。二人分の笑い声が、賑やかなクリスマスにふわり、溶けて。