退廃です




 あなたを憎む夢を見た。

 目を開けると天井、裸の胸に毛布、隣で寝ている女はダレだ。
 すっきりしない頭が求めるのはライター。マルボロは枕元、誰か火を付けてくれ。

ド不健全。
 いつからこうなったのか覚えてないけど、そういえばあの人はこうなる前から僕を知っていて、こうなってからは僕を叱咤するようになった。
 中学生の頃に抱いたその人への憧れ、ああ覚えている忘れもしない。
 あの時のような真っ直ぐさで人を愛することなんてこれから先もうきっと無い。
 だけど本当は、できれば忘れたい。
 僕も風丸さんも男の子だったんだ、げらげら。笑える初恋だね!

 ああそれで。
 あの頃みたいに僕はかわいく素直な後輩じゃなくなってしまったのに、あなたはそれでも話しかけてくれるんだ。
 宮坂、タバコは止めろ!…あれは昨日のことだったかな。あ、ライターはその時持っていかれたんだっけ。

 夢…さっきまでの夢をちらりと思い出す。
 憎んで憎んで、犯した夢。どうして憎んだ?覚えていない。何故か巨乳になった風丸さんのよがる顔だけが脳裏に蘇る。

(あーあ…、たっちゃった)

 風丸さんが女だったら、なんて考えたことはないけど、ひょっとしたら僕はまだあの人が、好き?
 そういえば隣で寝返りを打つ少女で何人目だろうか。
 いや、今までの全員がそうだったかも。

   ポニーテールに触れてみる。

 君が好きだよ、あの人に似ているところだけ!…なんてね、ゴメンね。