ぼくの世紀末




 夏の日がいちにち過ぎるごとに、彼の姿は遠くなった。夕立の虹が消えるように。
 おかしいね。

 ひまわりがきれいに咲いていた校庭のすみで、ぼくは風丸さんを見詰めていた。蝉の声。彼はぼくを見つけることができなかった。ひまわりの黄色に隠れていたから。

 花がしおれていくにつれ、ぼくの瞳も彼に狂わなくなっていた。
 最後のひまわりが死んでしまった夏の終わり、最後のあなたへの愛、ぼくはきっと花だった。
 これまでと同じ、振り向かない彼は、そして、夏の輝きに攫われていく。ぼくを置いて。ぼくが離れて?同じ瞳であなたに会うことは無い、無い、これからはもう。

 夏の終わり、ぼくの世紀末。何もかもを無くすことでぼくは明日を生き長らえる。風丸さんを忘れることで。
 とおり雨、水溜まりに青い空、青が貼り付く帰り道。乾いてしまうこの青空にぼくは明日からのぼくを投じた。