異常爆発




 ごめんなさい、無理やりキスして。
 きっと初めてだったんだろうな、ごめんなさい、最初が男なんてあんまりでしたね。

 だけど、ねぇ

「風丸さん知ってますか」

 僕が、僕があなたをどれほど好きなのか。

「風丸さん、風丸さん…」

 俯いているせいで、表情がわからない。水色の髪に手を伸ばす。細くて、柔らかくて、きれい。

「泣いてるんですか、ねえ」

 返事してください。早く、ねえ風丸さん。あ、睨まれた。急に頭が上がる。髪を触っていた手が、払われた。

「宮坂、あまりナメてくれるなよ」

 両頬を挟まれる。風丸さんの顔が近付いてくる。仕返しのつもりなのかもしれない。オレだってその位、キス位できる、みたいな。だけど。ガチ、歯が当たる。

「うふ、風丸さんのヘタクソ」

 今度は僕から。二度目の、キス。髪が混じり合う。頬をくすぐる。そういえばこの長い髪も、あなたに憧れて伸ばしたものなんですよ。

 目をちらりと開けてみる。伏せた睫毛はとても長い。体温が伝わるほど顔が赤い。唇を解放すると、名残惜しそうに糸が繋がった。

「風丸さん…」

 僕のこと好きになって…好き、に

「オレは…」

 風丸さんは真っ赤だった。泣いているようにも、見える。
 言わないで!お前はただの後輩だ、俺もお前も男だろ、そんな風に見ることはできない…あんまりだ!言って、お願い僕を好きだと、ねぇ!

「オレはお前をそんな風には、」

 息が詰まる。怖くて涙が出る。悲しくて涙が出る。風丸さん、知ってますか?僕がこんなにあなたを好きなんだって。

「やだ、風丸さん…っ」

 好きなのに、こんなにこんなに大好きなのに!
 どうしたら良いのか分からない。好きになってもらう方法も、嫌いになる方法も、愛し方すらもう分からない。なにもわからなかった。